生牡蠣を食べるとき、当然『生食用かき』を食べると思う。ちなみに読み方は『セイショクヨウカキ』だ。
この生食用のかき、海からあげてスグだから生で食べられるってものではない。
ぼくはよく生産地の海へ行くが、その海の状態を知っているところでないと…水揚げしたてのものでもそのままは食べない。
『生で食べられるもの=生で食べても食中毒にならないもの』なので病原菌が入っていないことが大切で鮮度の問題ではない。牡蠣で調べるものと言えばe-coliと一般生菌数が法律で規定されている。これらをクリアすれば法的には生食用として販売することができる。これに加えて、漁連や部会、組合、生産者はノロウィルスの自主検査をしている。前述のものと合わせてこの3項目がクリアされて『本当の意味で生で食べられる牡蠣』となるのだ。
これらの検査項目の数値は、海水中のe-coli , 生菌数 , ウィルスの有無をダイレクトに反映する。牡蠣は海水を吸って、その成分を体内に取り込んでいるからだ。栄養豊富である反面、汚染された海水の場合は牡蠣の内部が汚染されてしまうことになる。『表面を真水でよく洗う』という料理人の方もいるが、それの行動で食中毒が防がれるわけではない。あくまでも色々なものは『内部』に蓄積されるからだ。
よく「生食用は滅菌しているから」と聞くがこれも間違い。正確には「滅菌した海水のプールに浸けて、減菌している」である。牡蠣自体を滅菌しているわけではない。そして…、減菌前に検査項目をクリアしている牡蠣は減菌プールに浸ける必要はないのである。これもあまり知られていない事実。
みなさんが食べるときは、加熱用は内部、中心部までしっかり加熱して食べるようにしましょうね。ちなみに牡蠣とノロウィルスが関連付けられやすいが、ノロウィルス感染の94%が人から人への感染で残りの6%が食品からの感染。6%の中でも牡蠣からの感染は非常にマレなケースなのある。データから見ると牡蠣とノロウィルスが紐づけられるのは間違いだということが分かるのであった。